Tetsuhiro S. Hatakeyama (畠山 哲央)

東京大学大学院総合文化研究科の助教です。

2024年1月1日より、東京工業大学地球生命研究所に特任准教授(PI)として異動しました。
システム生物学、生物物理学、普遍生物学、複雑系科学などの分野のトピックについて、一緒に研究してみたいという方(修士、博士、学振など、様々な形式での受け入れが可能です)は、詳細について色々とお話しできればと思いますので、是非、お問い合わせください。
一度議論してみたいというのでもOKです。
新しいweb pageは https://hatakeyamalab.com/ です。

システム生物学、生物物理学、普遍生物学、複雑系科学などと呼ばれる分野の諸問題について、主に理論的な手法を用いて研究しています。何の分野の研究者と呼ばれるかについては、私自身はあまり気にしていません。

良い本を読んだ後、本を閉じて窓の外を眺めたり、あるいは良い映画を観た後、映画館を出て街を歩いたりする時に、それまでとは世界がどこか違って見えることがあります。同じような経験をした方も多いのではないでしょうか。
良い研究というのも、それに類するものだと思っています。その結果を知った後では、生物や生命現象に対する見え方が変わるような研究をしたいと考えています。
私が考える良い研究とは、例えば以下のようなもので、かつ結果が普遍的であるものです。

  1. 自明である、あるいは重要でないと考えられていた、既知の現象や性質が、非自明かつ重要であると指摘する研究
  2. 未知の現象や性質を新規に見出す研究
  3. 無関係であると考えられていた複数の事柄の間に、新規に関係を見出す研究
  4. 複雑で研究の俎上になかなか載せられないと思われていた現象を、より簡単な問題として記述し直し、新規の仕組みを見出す研究

久保亮五先生は『基礎と応用』という文章(参照先)の中で、「その上に何かあるものが構築され得るだけの基礎を探究する、というものだけを基礎研究と呼ぶとすれば、それは実用を目的としない研究というのとはちがった意味である」と述べており、また「実用を、物の役に立つことといえば、基礎的研究ほど実用的なものはない」とも述べています。もし我々の生命観を変えるような研究ができれば、将来的にその上に多くの構築物が築かれることと思います。


論文

プレプリント

査読済み


日本語で書いたもの

  • 『システム生物学入門』講談社サイエンティフィク(2023)
    姫岡優介さんと共同執筆
    畠山は「はじめに」、第1章、第I部(第2、3章)、第II部(第4-8章)を執筆
    amazon出版社web site

研究の解説

その他


授業

  • 2014-2024 東京大学統合自然科学科 統計力学演習
    学部3、4年生向け
    熱力学と統計力学の演習問題を作成し、問題の解説を行った。 数理・物質コースの学生だけでなく、多くの生命科学コースの学生が受講したため、生命現象を対象とした問題も多く扱った(アクチンフィラメントの伸長現象、ミカエリス=メンテン式の理論的導出、タンパク質のアロステリック制御の解析など)。
  • 2014-2024 東京大学統合自然科学科 数理科学演習
    学部3年生向け
    理論生物学や物理学の研究をおこなう上で困らない最低限のシミュレーション能力を身につけさせることを目標として、計算機を用いた演習を行なった。扱った内容は、力学系と統計力学である。特に、力学系のシミュレーションは、力学系の研究が理論生物学とともに発展してきたこともあって、様々な階層の生命現象を扱った。例えば、神経科学においてニューロンの発火を扱うホジキン=ハクスレー方程式から、生態学において被食者-捕食者の増減を扱うロトカ=ヴォルテラ方程式、発生生物学において魚の体表パタンから四肢形成にまで関わると考えられているチューリングパタン、さらには近年のシステム生物学の研究で頻繁に用いられる遺伝子発現制御のモデリングまでを取り扱った。また、統計力学については、モンテカルロ法を用いて、ランダムウォーク、ランジュバン方程式、パーコレーション、イジングモデルなどを扱った。
  • 2018 大学準備講座「現代の生命科学
    早稲田大学高等学院において、高校生向けに力学系を用いて生命現象を記述・解析する方法について授業を行なった。

経歴

2005
早稲田大学高等学院 卒業
2009
早稲田大学 理工学部 電気情報生命工学科 卒業
学士(工学)
2011
早稲田大学大学院 先進理工学研究科 電気情報生命工学専攻 修士課程 修了
修士(理学)
指導教員:岩崎秀雄准教授(当時)
2011
東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 博士課程 入学
2012-2014
日本学術振興会特別研究員(DC2)
2014
東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 修了
博士(学術)
指導教員:金子邦彦教授(当時)
2014
理化学研究所 基礎科学特別研究員
2014-
東京大学 総合文化研究科 広域科学専攻 助教
2017-2019
東京大学 卓越研究員
「生命システムにおける普遍的法則としての恒常性・可塑性関係の理論の構築と展開」
2019-2020
Ludwig-Maximilians-Universität München, Munich, Germany
Visiting Professor
Host: Prof. Dr. Erwin Frey

2016
日本生物物理学会
若手招待講演賞
2017
EMBO Conference Quantitative Principle in Biology, EMBL Heidelberg
Poster Prize
2020
日本物理学会
若手奨励賞


連絡先

新:hatakeyama at elsi.jp
旧:hatakeyama at complex.c.u-tokyo.ac.jp

新:
〒152-8550
東京都目黒区大岡山2-12-1-IE-1
地球生命研究所
石川台7号館306室
旧:
〒153-0041
東京都目黒区駒場3-8-1
東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系
16号館808A室